0時31分

誰もいない池袋の、街並みは穏やかで。
灰色の東口、何処か冷たい感じがした。
どこかしこで鳴り渡る、赤色灯の回る音。
新宿は今日も街も人も眠らずに暮れる摩天楼。
明治通りの車線には長い車が列を成している。
玩具のような人波を飲み込んでしまえば良い。

0時31分に思い出を乗せて去って行く。
黄色の電車、何も言えず ただ見送る事しか出来ず。
嗚呼、振り向いてばっかりの僕が立っている。

大人にはなれない渋谷には ちっぽけな夢も抱けずに、
いつも通り過ぎていた。次の街に目を輝かせ。
山手線が回る円の中、繰り返される不幸なニュースを
餌にするなら、その笑い声奪われてしまえば良い。

0時31分の最終電車に乗っている。
君を送って急ぎ足で 追いかけて手を振っている。
嗚呼、しわくちゃな顔をして僕は泣いている。

0時31分に 時計は全て止まってしまう。
風に揺らいだロウソクの火、傾いたまま何も燃えず
嗚呼、その火を消さぬように、
君に心配掛けぬように
僕は笑っている。

0時31分

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