西大井のうた

オマエが俺にくれたメールはシンプルでストレートだった…
僕は東京都品川区西大井に住んでいます…
だから西大井のうたを作って下さいって…
それは、いきなり…
僕はあなたの事が好きです…
だから、つき合って下さいって言うようなもの…
だけど、何て真っすぐでピュアな訴えなんだ…
だから俺は、あえてやろうと決めた…
そうなんだ、俺たち大人は…
こんな真っすぐな感覚を忘れてしまっている…
物事に理屈なんていらねぇ…
好きだからつき合いたい、好きだからキスしたい…
それでいい…
結果を恐れて何もしないより…
まず行動する事が大事なんだ…
ありがとう猫舌、中1の少年よ…
俺は大事な事を思い出せた…
オマエのおかげで…
ただひとつだけ言わせてくれ…
僕は東京都品川区西大井に住んでいます…
だから西大井のうたを作って下さいって…
あまりにも色がないだろ?
俺は心配している…
オマエが大きくなって女子に告白る時…
僕はあなたを愛しています。
だから結婚して下さいっていきなり言うんじゃないかって…
ごめん、何度も同じ事…うるさかった?
まぁ、西大井だけに…
グチも多い…
けど、まだオマエは…
中1で…13歳…
今のままで…
これからもつき進め…
西…(大井!大井!大井!)
西…(大井!大井!大井!)
東京…品川区…
西…(大井!大井!大井!)
西…(大井!大井!大井!)
東京…品川区…
恋して…フラれて…
その度立ち上がれ!
失敗…恐れるな…
信じる道を行け!
宿題やったか?
歯みがけよ!
また来週!

海老名

彼女の連休が終わった。
夜勤明けで帰宅した僕は、
布団の中に潜り込み、夢の中へ。
目を覚まし、
食事を済ませ、
彼女を海老名駅までお見送り。

海老名。
寒かった…。

フジタイチ

今日の夜勤のパートナーは、夢を夢で終わらせる男。
今日も彼の夢絵巻は、ノンストップ。
しかし彼は、良く似ている。
新宿に異動したアイツに、良く似ている。

そっくりだ。

同類だ。

瓜二つだ。

真っ二つだ。

本人だ。

※悪意はありません。

先祖

支配人のアドバイスもあり、
今日は千葉にある祖父のお墓へ墓参りに行く。
京王線から山手線へ乗り継ぎ、
山手線から常磐線へ乗り継…げなかった。
松戸駅-金町駅間での、沿線火災が発生したらしく、運転見合わせだとか。
仕方なく再度、上野駅まで出て、日比谷線で北千住駅へ。
しかし、電車は運転見合わせ中。
寒い…。

ようやくダイヤが復旧し、到着したのは、予定していた時間の約2時間後…。
そして駅で叔父さんを待っていると、後ろから僕の名前を呼ぶ声。
その声が父親にそっくりだったので、はっとした。

祖母の家へ着き、仏壇へ線香をあげる。
手を合わせ、何度も何度も願った。
そして、祖母の家からほど近い場所にある祖父の眠るお墓へ。
束ねてある線香に灯を移すとき、線香が物凄く燃えた。
きっと孝行してこなかったから、祖父が怒っているんだろうな、と思った。
今日の沿線火災も、もしかしたらそれと関係があるのかも、なんて事を思った。

千葉に居た頃は、年に何度も顔を合わせていた叔父さんや叔母さんだったけれど、
上京してからは会う機会もぐんと減ってしまった。
今日は僕が墓参りに来るのを知って、集まってくれた。
夜は皆で夕飯をとった。
なんか懐かしかった。
孫が出来て、食卓を囲う人数は増えたけれど、
叔父さんや叔母さんの中では僕はまだまだ子供。
気を遣わなきゃならない年になったのに、逆に気を遣われてしまった。

叔父さんに少し先の駅まで車で送ってもらっている時、
「お前達がまだ○○(地名)にいるような気がしてな。」
と言った。
千葉で暮らしていたのは、小学校までの12年間。
長野に居たのは、中学・高校の6年間。
そして、上京してから14年が経つ。
長野には、今でも連絡を取り合う大切な友達がいる。
東京にも、友達や同僚が出来た。
でも、しがらみだとか情実を抜きにしたら、
千葉で暮らした12年間ってのは、
僕の中でのある種の“糧”になっている気がした。

君津のうた

製鉄所のある町へ…
転校していった…
このクラスで、キミは…
相当変わりものだった
もう1年前の事…
転校するって時も…
気にするそぶりもなく
サラっと行ってしまった…
君津 君津 君津…
キミに合いに、ここへ来たんだ… あれ?
キミ、つ? キミ、つ? キミ、つ?
つれない態度、相変わらずだね…
キミ、つ…
ゲームばっかやってた…
今でもそうなんでしょう?
回文ばっか作ってた…
回文になってなかったけど…
学校終わると、すぐ…
あっという間に帰宅して…
友だちとかいらない
キミの生き方だった…
ボクにとっては…
そんなキミは…
ある意味、カッコいいヤツ…
君津 君津 君津…
ボクの事を覚えてますか?
キミ、つ? キミ、つ? キミ、つ?
もしかして、キミ…
スパイかなんか…
存在自体… 国家の…
機密…

ばら撒き

帰宅直前。
交差点の真ん中に人が立っているのが見えた。
「あっぶないなぁ~」
と思っていたら、様子がおかしい。
車の動きも、なんだか変だ。
よくよく目を凝らしてみると、道路に大量の新聞紙が。
どうやら、新聞屋が転倒したのか、かごを落としたのか、
新聞紙が道路一面に広がり、そして風で舞っている。

車はきちんと、新聞紙を避けて走っている…いや、いた。
途中から、グチャグチャと踏まれてしまって…。